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新建築の賢い情報

積み立て方式に納得して未納を決め込む人に、「支払わなければ自分の年金額が減るだけ」と脅したところで納入するはずがない。
では、なぜ国民や議員の多くは、賦課方式である年金を積み立て方式と取り違えているのだろうか。 それはIとMが指摘するように、これまでの確定給付の年金制度について、厚労省が「税金ではなく保険であり、払った保険料は返ってくる」と説明してきたからである。
「保険」であれば、年金は「思わぬ高齢まで生きるリスク」を回避するため積み立てる制度ということになる。 そして実際に国民の多くは年金をそうしたものとして理解してきた。
だからこそ保険に対する見返りが乏しいことを裏切りとみなし、未加入行動を取ったのである。 ところが年金国会を経て、年金は従来から各年ごとに保険料と給付とを均衡させる「賦課方式」であったことが明示された。

年金は、高齢者の生活を勤労世代が支える制度であり、「あなたが払った保険料がいくら返ってくるかわかりません」と言明したのである。 こうした「積み立て方式」から「賦課方式」への転換は根本的であるが、それについて政府が説明をなぜ変えたのかについて理由を述べないのは怠慢である。
「保険料は現在の高齢者を支えるため」とする現在の賦課方式の発想が、「保険料を払うのは自分の老後のため」と、積み立て方式で年金を理解する人にも受け入れられるのは、人口や経済が成長しており、納付を受給が上回るときに限られる。 両者の矛盾が表面化しなかったのは、人口や経済が成長していたからなのだ。
「高齢者を支える」という道徳に表面では共感しても、現実にそれを受け止めることができるのは、「自分の老後のため」にもなる場合であろう。 賦課方式であれば、世代間で支払いと受け取りは異なり、不公平を前提することになる。
世代間もしくは世代内の不公平を容認するか否かは国民が決めるべきことであり、若い世代から批判が出るのも当然だろう。 未納問題は、少子化のもとにありながら「賦課方式」へ発想を転換しなければならないことを説明しない政府に責任がある。
ではなぜ政府は年金の実情について、暖昧な説明で逃げを打とうとするのか。 年金の専門家であるTの指摘は強烈である。
厚労省が渋々公開したバランスシートからは、改革の本当の狙いが、各年の予算均衡よりも、過去の債務超過を将来世代に支払わせることにあると読みとれるというのだ。 その額は累積で600兆円に達しているという。
とするならば、世代間不公平の本質は、厚労省が言うような少子高齢化にはなく、累積債務にあるということになる。 累積債務は年金行政の失敗を意味しているために、暖昧な説明でお茶を濁そうとしているらしいのだ。
年金制度への不信を招く第3の要因として、賦課方式では積立金はありえないが、なぜか146兆円も存在するという問題がある。 賦課方式は人口構造の変動の影響を受けやすいから、少子・高齢化が進行するなかで世代間の公平を図る必要がある。

現役世代の保険料負担が急速に上昇して過度なものとならないよう、保険料率を段階的に引き上げながら積立金を残し、その運用収入を確保この積立金については、2008年からは「年金積立金管理運用独立行政法人」がその全額を自由に運用することになった。 これは金融市場を操作できるほどの巨額であり、株式取得を通じて企業をも支配できてしまう。
失政を重ねた当事者が巨大な権力を握るわけだ。 しかも社会保険庁にかんしては、04年に厚労省などが公表した調査報告書によれば、啓発冊子の監修料として5年間に数億円を業者から受け取り、飲食やタクシーなどに使っていたほか、ゴルフや飲食などの接待、金品の受け取りが発覚している。
こうした官庁への不信が年金未納に口実を与えてしまっている。 している、というのが厚労省の見解である。
しかしそれがグリーンピアや年金住宅融資に用いられ、Iが追及するように、交際費や運転手経費などにも流用され、年金官僚に利権をもたらしてきた。 では、年金についてはどのようなものが望ましいのか。
年金は、将来不安をなくすための制度だとされている。 ところが賦課方式だと、むしろ将来が不安になってしまう。
積み立て方式は自分の老後を自分で支える自助の発想にもとづいているが、それには別の性格がある。 自分の将来の収入を、自分で決めるというものだ。
一方、現在の年金制度では、人口動態や経済成長率にかんする予想がはずれるたびに納入額と受給額が変更されるのだから、生涯所得を計算しようとしても確実な判断ができない。 年金に対する「不当」感は、不公平感に劣らず計算が確実にならないことも大き年金が解消すべき将来不安は、「思わぬ高齢まで生きてしまうリスク」である。
年金はそのリスクに対処するための社会制度であり、それは人が生きていくうえで予算を確実に把握できるようにするための工夫でもある。 その点で賦課方式だと、不確実性をわざわざ呼び込み、年金の趣旨を歪めてしまう。
少子高齢化のもとでの賦課方式においては、年金の未納はまずいことに、自助努力を指針とする人にとって合理的な行為である。 年金制度が破綻するかもしれないと感じる人は未納・未加入に向かってしまう。
それが問題なのは、未納者が増えるほど保険料が高くなり、それに嫌気がさした未納者が新たに現れるとますます財政が逼迫する、という悪循環が生じるからだ。 つまり、「年金が破綻するかもしれない」という予測は、結果的に年金制度を現実的にも破綻させかねないのである。

年金問題は、抜本的には賦課方式に無理があることに由来すると言えるだろう。 社会保障は、誰にもありうる「最低生活以下に落ち込むリスク」を社会全体でカバーするという理由から、所得の再分配を正当化する。
高齢者を若者が支えるという年金の賦課方式にもそれと似た部分がある。 だが高齢者を弱者とみなすには、高所得を上げて弱者とはとても呼べない人が少なからずいて、例外が多すぎる。
年金には、税で行えばよい社会保障とは異なり、「思わぬ高齢まで生きるリスク」に対する保険という性格の方が色濃い。 これは平均寿命よりも長生きするか否かの問題だから、同世代内で生じるリスクである。
こうしたリスクに備えることを私的な貯蓄に任せず社会的な義務とするのは、たまたま短命である人の受給分がたまたま長命である人に移転することで、長生きのリスクを社会全体でカバーできるからだ。 けれども任意であればリスクの高い人ばかりが加入してしまうので、義務にしなければ保険の意味をなさない。
このような考え方をかつてM・Fは「義務的個人積み立て制度」と呼んだが、それによるならば、平均寿命まで生きれば払った分だけ返ってくる、つまり損得はそれよりも長命か短命かだけで決まることになる。 年金の納入が国民の義務である理由は、全員で加入することで大数法則からリスクを回避できることに求めるしかないのではないか。
大数法則とは、あることを何回も行えば確率は一定値に近づくという法則である。 サイコロを振ったときに出る目は、回数が少ないときにはどれかの目に偏る可能性があるが、数多く振ればどの目が出る確率も6分の1に近づく。

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